親の介護、何から始める?最初に確認する7項目と相談先

介護・暮らし支援

情報確認日:2026年8月14日
執筆・編集:合同会社オフィスレイ

「最近、親の物忘れや転倒が増えた」「離れて暮らしていて生活の様子が分からない」。そんなとき、いきなり施設や民間サービスを探す必要はありません。

最初の窓口は、原則として親が住んでいる地域の地域包括支援センターです。地域包括支援センターは、高齢者本人や家族から、介護・生活・権利擁護などの相談を受ける市区町村の相談拠点です。

この記事では、家族が診断や介護度を決めつけず、相談に必要な事実を整理する手順をまとめます。急な意識障害、呼吸困難、大けがなど緊急性がある場合は、この記事より救急要請や医療機関への相談を優先してください。

まずは状況別に相談先を決める

いま起きていること 最初の行動
急な体調悪化、意識障害、大けがなど切迫した危険がある 119番や医療機関へ連絡する
食事、入浴、買い物、服薬など日常生活が心配 親の住所地を担当する地域包括支援センターへ相談する
介護保険サービスの利用を検討したい 地域包括支援センター、または市区町村の介護保険担当窓口へ相談する
虐待や金銭搾取が疑われる 地域包括支援センターや市区町村へ相談する。差し迫った危険は警察へ連絡する
仕事と介護の両立が不安 勤務先の人事・労務窓口へ早めに相談する

迷う場合は、地域包括支援センターに「まだ介護が必要か分からない段階ですが、相談できますか」と伝えて構いません。担当センターは、厚生労働省の介護サービス情報公表システムや市区町村のウェブサイトで探せます。

最初に確認する7項目

相談前に、次の7項目を分かる範囲でメモします。全部そろうまで相談を待つ必要はありません。

  1. 親の住所と生活状況:独居か、同居家族がいるか、日中一人になるか
  2. 気になった変化:転倒、食事量、入浴、服薬、買い物、金銭管理、道迷いなど
  3. いつから・どのくらいの頻度か:「最近」ではなく、分かる日付や回数を記録する
  4. 現在の受診先と薬:かかりつけ医、通院先、薬の一覧が分かる場所
  5. 本人の希望:自宅で暮らしたいこと、困っていること、他人にしてほしくないこと
  6. 家族ができること・できないこと:距離、仕事、育児、健康状態、訪問できる頻度
  7. 直近の危険:火の不始末、転倒、食事不足、詐欺被害など、先に対処すべき問題

「認知症だと思う」「もう一人暮らしは無理」と結論を書くより、見聞きした事実を記録する方が、相談員が状況を判断しやすくなります。

地域包括支援センターへ伝えるメモ

電話する前に、次の形で一枚にまとめると話が早くなります。

○○市に住む、○歳の母について相談したいです。
一人暮らしで、○月ごろから週に○回ほど、薬の飲み忘れが見つかっています。
先週は自宅内で転びました。けがの診察は済んでいます。
本人は自宅で暮らし続けたいと話しています。
家族は県外在住で、訪問できるのは月○回ほどです。
まず、何を確認し、どの窓口につなぐべきか教えてください。

本人の同意なく、必要以上の個人情報を民間事業者へ一斉に送らないことも大切です。まず公的な相談窓口で選択肢を整理しましょう。

介護認定を申請するときの流れ

介護保険サービスが必要になりそうな場合、一般には次の順で進みます。

  1. 市区町村の窓口へ要介護・要支援認定を申請する
  2. 認定調査員による訪問調査を受ける
  3. 市区町村が主治医意見書を依頼する
  4. 一次判定と介護認定審査会による二次判定が行われる
  5. 認定結果の通知を受ける
  6. 結果に応じてケアプランを作り、サービス利用を検討する

申請方法や必要書類は市区町村で確認してください。認定前でも相談はできます。サービスを急いで選ぶより、本人の生活上の困りごとと希望を先に整理します。

家族だけで抱え込まないための役割分担

家族会議では「誰が全部やるか」ではなく、作業を分けます。

役割 具体例
本人との連絡 定期連絡、希望の確認
公的窓口との連絡 地域包括支援センター、市区町村への相談
医療情報の整理 受診先、薬、緊急連絡先の一覧化
お金の確認 支払い方法、詐欺被害の有無を本人と確認
記録の共有 相談日、決まったこと、次の期限を家族内で共有

遠方の家族が電話や記録を担当し、近くの家族が訪問を担当する方法もあります。介護離職を先に決めず、勤務先へ介護休業制度や柔軟な働き方について相談してください。

この段階で急いで決めない方がよいこと

  • 本人の希望を聞かず、施設入居を前提に話を進める
  • 家族一人が、仕事・通院同行・金銭管理をすべて引き受ける
  • 価格や特典だけで見守り・配食などの民間サービスを契約する
  • 本人への説明や同意なく、カメラなどの見守り機器を設置する
  • 介護認定の結果だけで、必要な支援がすべて決まると考える

民間サービスは、公的支援で足りない部分が明確になってから、本人の同意、解約条件、緊急時対応、個人情報の扱いを比較します。

今日やることチェックリスト

  • □ 急を要する危険がないか確認した
  • □ 親の住所地を担当する地域包括支援センターを調べた
  • □ 見聞きした変化を、日付・回数とともに書いた
  • □ 本人が望む暮らし方を聞いた
  • □ 受診先と薬の情報がどこにあるか確認した
  • □ 家族ができること・できないことを分けた
  • □ 次の相談先と連絡日を一つ決めた

すべてを一日で解決する必要はありません。まず「親の住所地の地域包括支援センターを確認する」「事実を一枚にまとめる」の二つから始めれば、次の行動が具体的になります。

この記事の限界

この記事は、介護が始まりそうな家族向けの一般的な情報です。病気の診断、緊急性の判定、要介護度の予測、個別の法律・財産管理の判断はできません。体調や安全に不安がある場合は医療機関や緊急窓口へ、成年後見や財産管理など専門判断が必要な場合は地域包括支援センターから適切な専門職につないでもらってください。

参考にした公的情報

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